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  • 新型コロナウイルス感染によって死亡された方の葬儀式について、浄土宗総合研究所から「ガイドライン」を記した書類が送られてきました。それを見て感じたことを述べます。




    厚労省のホームぺージの「新型コロナウイルスに関するQandA」(関連業種の方向け)」によると、新型コロナウイルスにより亡くなられた方の遺体は、24時間以内に火葬することが出来るようです。通常は24時間を経過しないと火葬出来ないのですが、新型コロナウイルス感染死亡者は例外的に24時間以内の火葬を認めております。そして遺体の搬送や火葬に際しては、遺体からの感染を防ぐため、遺体全体を覆う非透過性納体袋に収納・密封することが望ましく、極力そのままの状態で火葬するようにとあります。




    浄土宗の「ガイドライン」には、東京圏を例に、遺族の立ち合いが出来ない、火葬の時間帯は早朝あるいは通常の火葬が終了した時間帯で行われる、遺族は火葬待合室が使用できず、収骨も身内ができずに遺骨のみが渡される、などを挙げております。これらはすべて遺体からの感染予防のためであるといいます。さらにガイドラインには、火葬と葬儀式との関係を、火葬前葬儀式と火葬後葬儀式の二様のあることを指摘した上で、遺骨の前で枕経・通夜・葬儀(告別式)の各儀式を営むように要請しております。




    さて、問題はいろいろあろうかと存じます。まずもって厚労省の文章に驚きました。感染拡大の防止とはいえ、遺体を「物」としか扱っていないのです。お棺を用いず、遺体全体を覆う「非透過性納体袋」に収納・密封するとあるからです。「遺体」という表現も死者に対する敬意が伺えません。テレビの刑事もののドラマでも「御遺体」に合掌しております。厚労省の役人は、火葬という葬儀が浄土宗なら浄土宗なりの教義に基づいて行われていることを知らずして、単なる死体処理とでも考えているのでしょうか。すくなくとも阿弥陀仏の来迎引迎と、故人と遺族との最期の分れという荘厳かつ崇高な儀式を伴います。




    次に浄土宗の「ガイドライン」は間が抜けたことを提案しております。「お骨になった後でも枕経・通夜・葬儀をつとめる」ことであります。会葬者の座席間隔をあける、お焼香の間隔をあける、儀式・法話時間の短縮などを留意事項としている点であります。「ガイドライン」では感染予防策として、「密閉」「密集」「密接」のいわゆる三密を避けるように言いながら、三密に反する葬儀・法事を提案している矛盾に気づいていないのでしょうか。東京圏のお寺はよほど大きいと見え、一般のお寺では本堂で葬儀式を挙げること自体、「三密」を避けることは出来ません。「葬式仏教」と揶揄(やゆ)されるゆえんです。




    ところで、皆さんはどう思われますか。E-メールのアドレスは「ご挨拶」の欄をご参照下さい。